一万三千二百キロメートル

生活

2週間ほど前の話になるが、日本から荷物が届いた。両親が私のリクエストを聞いてあれこれ送ってくれたのだ。

もちろん生活する上で、サッカーする上で必要なものを頼んだわけだが、厳密に言うと無くてはならない、ないと生きていけないものではない。何か送ってほしいものがあるかと聞かれた時は、正直東京からコスタリカのこの距離の遠さで本当に荷物が届くのか不安で、どれだけのお金がかかるのかもいまいち想像がつかなかった。生活に困っている訳でもないし別に送んなくてもいいよ~なんて言ってみたが、荷物を送るのが親の楽しみだとかなんとか言われ、まあそっち(両親)が良いならとコスタリカではなかなか手に入らないものを中心にリクエストした。

までは良かったのだが、結論から言うともう日本から荷物を送ってもらう事はないだろう。理由は二つ。一つは受け取る手続きがちょっと(というかだいぶ)面倒であること。そしてもう一つは受け取る際に徴収される謎のお金がかなり高かったこと。

まず、日本からの荷物がコスタリカに到着すると、配送?の会社から電話がかかってくる。知らない番号かつコスタリカの番号からの着信だったので誰だろうと思いながら一日無視していると、今度はワッツアップでメッセージが送られてくる。ようやく荷物が届いたことを理解できると今度は担当者らしき人のメールアドレスが送られてきて、指定の手続きをして荷物を受け取るように言われる。指定の手続きとはなんだと聞くと、ボイスメッセージで長々とした説明が送られてきた。日本ではあまり馴染みがなかったが、コスタリカ(海外では?)の人はボイスメッセージを多用してくる。たいてい翻訳アプリにメッセージをコピペして理解している私にとってボイスメッセージほど厄介なものはない。。あまりにも長い説明かつ非常に早口。聞き取れないからテキストで送ってくれないかと頼むと、めんどくさくなったのか急に未読無視。仕方なく送られてきたメールアドレスに受け取り方法を教えてくれないかとメールを送ると、担当者はとても親切に全ての工程をメールで送ってきた。そして次のめんどくさいポイント。日本から送った荷物の名前、用途、材料を一つ一つスペイン語に翻訳してリスト化してメールで送らなければならなかった。日本から送る際にもリストアップされているのだが、そのリストが英語と日本語での表記のため、スペイン語に直さなければならなかった。靴下やタオル、お箸など細々したものを送ってもらっていたのでこの作業がやや面倒だったがスペイン語の勉強だと言い聞かせなんとかやり終えた。所定の手続きを終え、後は受け取るのみとなったのだが、発送完了通知を受け取った次の日。まず荷物が何時に届くのか分からない。時間を聞いても午後だと言うことしか分からず、本当に家の住所まで届けてくれるのかも正直怪しい。家にいないときに届いたらまた手間が増えるため、その日の午後は一歩も家から出ずに今か今かと荷物を待った。が、なんとなくそんな気がしてた、がしっかり的中しその日は荷物が来なかった。夜になっても来なかったので、荷物はいつ来るのかとメールを送るとその次の日に、昨日は他の配達でいくつかの遅延があり配達に間に合わなかった、あなたの荷物は今日配達されますとの返信。なんだかコスタリカらしいなと思いながら、次の日もまた家でじっと荷物を待った。そんなこんなでようやく昼ごろ荷物が届き、ウキウキしながら受け取ろうとすると、最後の最後に待ちに待ったウキウキを吹き飛ばすお金の請求がそこで待っていた。。。

受け取りの際にお金を取られるという事は事前に両親から聞いていたので準備していたのだが、それがいくらなのかは着いてみないと分からないとのことだった。送料は日本から送る際荷物の重量に準じて払っているが、それとは別に関税なのか配達料なのかがかかるらしい。まあそんなには高くないだろうと思っていた5分前の自分に、大した額も入っていない財布ではなく、カードを持って外に出ろと教えてやりたかった。日本円で約2万円を請求されることになるのだから。あまりの高さに、一桁読み間違えたのかと思い、とりあえず2000円渡してみた自分を思い出す度恥ずかしい。。しっかりカードを取りに部屋に戻り支払いを済ませた。その後領収書で確認してみると、通関代行サービスとやらに1万円かかり、その他倉庫での保管料や関税、消費税などの諸税金が加わってのトータル2万円であった。他の国でも同じようなものなのだろうか。もしや騙されたのでは?と諦めきれず、同じような体験談をネットで探すと、お金も労力もかかるため日本からコスタリカへの荷物はお勧めしません!というブログが見つかった。その方は食品を送ってもらったようで、食品審査の手続きなど私よりも面倒なことが多かったようだ。今回はコロナの影響?もあり食品類は一切送ることができなかったため、幸か不幸かまだマシだったのかもしれない。

こんな経緯があり、もう荷物の受け取りはしたくないマインドになってしまった。経験値の浅い私は、荷物なんて家にいたらすぐに届いてちょろっとサインしてすぐ受け取れるでしょ~と完全にAmazonや楽天の感覚で考えてしまっていた。荷物を送りたいと言ってくれていた友達も居て楽しみにしていたことなので残念な結果ではあるが、海外生活は何事も経験だ、と言う便利な解釈があるのでそこに落ち着こうと思う。

色々あったけれど、荷物が届いたのはやっぱり嬉しい。読みたかった本を紙で読むことができる幸福感。(海外転居を機に渋々電子書籍を利用している)なくても困らないけどあったらちょっと生活が豊かになるグッズ。トレーニング×学問化の特集が組まれたfootballistaが届いたおかげでサッカーの見方がぐっと広がり、バルサの試合もCLも観るのが格段に面白くなった。雑誌に挟まっていた両親からのメッセージも電話やメールとはまた違う喜びを感じた。ただ一つ文句を言ってもいいのなら、雑誌に挟まっていたお寿司や鰻重の宅配チラシは抜いておいて欲しかった。(なんて美味しそうなんだ!!食べたくなるじゃないか!!)

荷物を送ってもらって本当によかった。

(もう2万円は払いたくないけど)

値段とか労力と同等かなんて考えるのが野暮な種類の幸福感がその箱には詰まっていた。

(2万円ってひと月の食費より全然多いけど)

うん。お父さん、お母さん、ありがとう!!!!!

(いつかコスタリカに来るときにいっぱい持ってきてね)

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