U20女子W杯コスタリカ2022 雑感①/いくつかの国の印象編

サッカー

 8月10日よりここコスタリカでU20の女子W杯が開催されている。二日前に、グループステージ(以下GS)全試合が終了し、スペイン、ブラジル、メキシコ、コロンビア、フランス、ナイジェリア、オランダ、そして日本の準々決勝進出が決まった。日本の次の対戦相手はフランスになった。

GSで観れた限りの試合から感じた各国の印象について書いていこうと思う。雑感ですよ、雑感。

完成度の高いスペイン代表

ここ数年の欧州における女子サッカーの急速な成長と人気の高まりから、欧州勢の若い年代がどれほどのものか期待は高かったが、期待通りいや、それ以上のサッカーを見せているのがスペインだ。GSでは無敗&大量得点による勝利を重ね首位突破を果たした。

かつ観ていても面白いサッカー。11人でボールを動かしているような印象を受けた。パスを受けた選手に対するサポート、次のパスコースをつくる動きが非常に速い。出し手の判断も早く球離れがいい。グラウンドを広く使い、一人ひとりの選手にスペースを持たせることでパスだけではなく運ぶドリブルでも局面を変えていた。ワントップの9番は、前に張ってDFラインを下げる動きと落ちて中央に相手守備の目を向ける動きの使い分けが抜群で、攻撃の中心だった。中央での効果的なアクションによりサイドにスペースを作り、そこから質の高いクロスで決定機を作るシーンが多かったように思う。

ビルドアップに関しては初戦のブラジル戦ではサイドバックのところでうまく打開できない感があったが、その他の試合を観るとブラジルの守備のレベルが高かったせいと言える。そのブラジル相手にもいくつか崩して決定機まで行くシーンを作れていたので、どの相手にもフィニッシュまでを描けるサッカーの完成度の高さがスペイン特徴であろう。

個と組織のバランスが良いブラジル

そんなスペインと互角またはそれ以上にやり合い、レベルの高い90分間を見せてくれたのがブラジルである(試合結果は0-0)。ブラジル、スペイン共にDFラインは体格も良く能力の高い選手が揃っていた。対スペインでは組織的な守備が印象的だった。低い位置から繋ぐスペインに対して、一人ひとりの寄せが速いかつ深く、全体で連動することで高い位置で蓋することができていた。

組織的な守備に対し攻撃では個の突破力が目立つ。ドリブルで相手ゴール前に迫れるのはさすがブラジルといった感じでポジション問わず個人戦術のレベルが高い。ただ、突破力がある分ゴール前ではやや球離れが悪くなり複数人がボールに絡んで崩すようなシーンは少なかった。ただ、前線の選手がドリブルで仕掛けながら相手を引きつけ時間を作ることができるのはブラジルの強みだ。対コスタリカでは両サイドからのアグレッシブな仕掛けで多くのチャンスを作り2度のPK獲得にも繋がった。メンバーを少し落としていたようで、守備はややバラついて安定感がなかったが、トーナメントではどうなるのか確かめたい。

フィジカルと個の能力が高いアメリカ

優勝候補と言われているアメリカ。初戦の対ガーナでは、フィジカルや個の能力の高さで圧倒し3-0で快勝した。実際にスタジアムで観たのだが、とにかくどの選手も背が高くたくましい。試合でもそのフィジカルの高さは遺憾無く発揮されていた。ガーナのDFラインが高く背後のスペースが広大なこともありロングボールからの突破が目立っていたせいもある。ただ、個のキープ力と推進力、フィードやクロスの精度の高さが目立つ一方で個に少々頼りすぎな感じもした。1対1の局面が攻守共に多い。個に頼りすぎている弊害は、次のオランダ戦で顕になる。

オランダに負け、GS突破に後がない中迎えた日本戦でもその強さと速さは結果には結びつかなかった。日本のコンパクトで組織的な守備を個の突破だけで崩すのは困難であった。球際やサイドでの抜け出しはアメリカ優勢だった。しかし、日本はボール保持者に対して常にカバーの選手が備え、1対1の局面をなるべく作らないようにしていた。途中から高い位置でボールを奪いにくるようになった日本の戦術変更にも対応できず、足元がやや不安定なセンターバックのところでロストしてそのまま失点というシーンもあった。2点差以上での勝利が必要な焦りからかパスミスが目立ち、自分達のミスで流れを悪くしてしまった。おそらく唯一日本がカバーリングを作れなかった場面ではサイドを突破しクロスからの得点で一矢報いたがそれ以上の強さは見せれなかった。

強さに太刀打ちできるオランダ

個の能力を全面に押し出すアメリカに対して組織と個の併用でそれを圧倒したのがオランダだった。オランダも体格が良くフィジカル能力の優れた選手も多い。アメリカほどではないかもしれないが、持ち前のフィジカルに加え組織でも戦い、ガーナ戦でのアメリカのインパクトが嘘だったかのような展開を見せた。連動していないアメリカの守備に生まれた多くのスペース、特にサイドのスペースをうまく突きクロスからいいシーンを何度も作った。アメリカは個人での突破がなかなかできず、ゴール近くまでボールを運べない。ボールの失い方が悪くそれが守備の間延びにも繋がっていた。終始ペースを掴めずに、終わってみれば3-0でオランダの快勝であった。

アメリカ戦で強さとプレーのクオリティの高さを見せつけたオランダだったが、その前の日本戦ではあまりそれが見られなかった。日本戦ではビルドアップでのミスや連携ミスが多い印象を受けた。失点後からは特に高さを生かしてロングボールを多用するシーンも多かった。しかしこれについては、5バックで挑んだ日本のスペースを消す守備が非常に効果的だったことが原因であろう。守備においても日本の細かいパスワークや素早い動き出しに手を焼いていた。反対に、アメリカ戦では多くのスペースがピッチ上に存在しダイナミックな攻撃を仕掛けることができたし、守備でもフィジカルコンタクトの強さを生かすことができた。国と国の相性で試合の印象や結果が大きく変わるのも国際大会ならではの面白さだと感じた。

数値的なデータなどはあまり考慮せず、本当にただの印象で書いているのであまり参考にならないかもしれませんが、私の目にはこんなふうに映りました。次の投稿で、上の印象を踏まえて欧州やアメリカの特徴、日本との違いについて思うところを書いているのでぜひそちらも!!

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