スポルティングサポーターが胸熱だった件。

今週から欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメントが行われている。グループステージから期間が空いたためサッカーファンにとっては待ちに待った楽しみがやってきたことだろう。もちろん私もその一人。特にマンチェスターシティの試合が久しぶりに見られるのがとても楽しみだった。

コスタリカではテレビでたくさんサッカーを放送している。国内リーグはもちろん、近隣のメキシコやアルゼンチンのリーグ、ラリーガ、リーグアン。そしてチャンピオンズリーグ。ただ、最近ようやく少し分かってきたものの、どのチャンネルでどの時間に各国のリーグが観られるのかがとても難しい。だから、暇な時にテレビをつけてチャンネルを巡り巡ってちょうど放送されている試合を観るというのがこっちに来てからの観戦スタイルだ。チャンピオンズリーグはというと、グループステージの試合が夜に再放送されていることが多く、3回ほど見た試合も対戦もある。残念ながらプレミアリーグにたどり着いたことはない。放送されていないのか、見つけられていないのかは分からないが、これが結構悲しい。。日本にいたときに当たり前のようにバルサとシティのリーグ戦やカップ戦を全て観られていたことのありがたみをひしひしと感じる日々だ。試合のネタバレで兄弟喧嘩したり、家族で、朝○時集合!なんて言ってみんなで見たり、そんな日々すら懐かしい。。

そんなこんなでシティとスポルティングのファーストレグを見るのはここ最近で一番の楽しみだった。もうネタバレと言われる時期を過ぎただろうから結果をいうと、アウェイチームであるシティの大勝だった。ただし、試合を観た感覚ではあそこまで点差の開く内容ではなかったように思える。シティの調子がいい時のパスワークの流れの良さやプレッシングのハマり具合と比較すると、特に前半途中まではやや精度が劣りミスも多かったように感じた。ただ、久しぶりにシティの試合を観たため自分の中の期待値や頭に残ってるシティの良いプレーが先行してしまっていたのかも知れない。それでも結果は結果であり、シティ選手の決定力が神がかっていたのもまた事実。90分間トータルでコレクティブであることが最高の出来と言えるだろうが、今回のゲームのようにどこかいつも通りにいかずミスが増えていたとしても「ここ」というところでは確実に結果を出せるのもまた実力であり、ビッグクラブの強さを感じた。

細かな感想を書いていくとキリがないので、この試合でとても心に残ったシーンについて話したい。それは90分が経過し5-0で迎えた終了間際のロスタイムでのこと。スポルティングサポーターで埋め尽くされた満員のスタジアムが画面に映し出されると、全サポーターが席を立ちマフラーを振り回しながらの大合唱。まるであと少しで勝利の瞬間をむかえるかのような雰囲気を画面越しからでも感じられた。もちろんスコアは先述の通りスポルティング側は5失点で無得点。にも関わらず、サポーターの表情は少しの失望や怒りも感じさせない熱く愛のあるものだった。

これまでヨーロッパの試合を何試合も観てきた。点差が開いて負けが確定してくるとサポーターたちが帰ってしまうというシーンはよく観たが(初めて見た時は子供ながらに胸が痛んだ記憶がある)、今回のように大差がついた中残り数分というところでサポーターの歓声がより大きくなるなんていうのは初めてだった。テレビの前で鳥肌が立ったし、言葉にならない感情が込み上げてきた。ヨーロッパの観客は良くも悪くも正直で、熱しやすく冷めやすい。ゲームの出来を歓声と態度ではっきり示すし、サッカーに対してとても情熱的で、その試合を純粋に楽しんでいる。試合途中でも出来が悪いと帰ってしまうのを悪く捉えることもできるが、それだけチームへの期待を持っており、その分良くなった時には感情を爆発させて喜んでくれるという見方もあるだろう。ただ今回の光景はそんな感情論全てを超えた、サッカー、もっと言えば全てのスポーツの根底にあるものが表現されているように私は感じた。スポルティングサポーターの、「サッカー」と「チーム」に対する愛と誇りを感じた。もし自分がスポルティングの選手であのピッチに立っていたならば、あれほど幸せな瞬間はないだろう。

間違いなく、私が今まで見てきた中で一番美しいサッカーの姿だった。

あの景色が、スポルティングというチームでは当たり前のものなのか、どんなに点差が開いても一人も投げやりにならず、最後までゴールを目指してプレーし続けた選手たちに対するリスペクトなのか。シティとスポルティング、両者を称えるフィナーレだったのか、画面越しでただ見ていた私には分からない。しかしながら、一生忘れないであろう心が動かされるとても素敵なシーンだった。また、この感動とともに私がこれから選手として、または指導者になって少しでも多くの人に伝えていきたいサッカーの魅力はこれであると確信を持つことができた。次に同じようなシーンに出会った時には、隣にいる誰かにこれがサッカーなんだよ!!!最高でしょ!!と大興奮で伝えたいと思う。サッカーの美しさ、楽しさを伝えること、いつかは当事者として今回目にしたような景色に立ち会うこと、また一つ私は夢をみる。

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