数日前、約10ヶ月ぶりの日本に着いた。真っ青な空と暖かな日差し。1週間ぶりくらいの太陽は12時間超のフライト&オランダ時間深夜2時の到着で疲れ切った私を包み込んでくれた。飛行機の中で2023年、特にオランダに渡ってからの日々をゆっくりと振り返った。カメラロールを指でなぞりながら浮かべた笑顔は誰かに見られていただろうか。
オランダに来たばかりの頃、目的の一つであるライセンスの取得を軸になんとなく人生のスケジュールを20年分くらいノートに書き出だしていた。久しぶりにそのページを開いた。現実的かつ理想的。自分の性格がよく現れたスケジューリングだと我ながら思う(笑)
23歳は「生活を楽しむ・お金を貯める・経験と習得にお金を使う」と書かれていた。たまたま見つけた近所のインターナショナルフットボールクラブという名前そのままの、国際色強いサッカーチームを見つけられたことが恐らく去年の全てであっただろう。思いやりに溢れたチームメイトに恵まれ今や欠かすことのできない大切な居場所になっている。チームの話はまた別のブログで。
オランダ生活は今のところ楽しい。お金は良くも悪くも予期せぬ引越しにより一時逼迫しかけたが、何とかビザの更新に関わる年末に必要な口座残高を維持し、ライセンス取得費用投資分も確保できている(予定)。とはいえ経験と習得にお金を使ったのでもちろんお金は貯まらなかった。
貯めると書いた後に使うと書いているのだから、うん、しょうがない。
オランダ移住一年目はざっくり振り返ると順調に見えなくもないが、もちろん上手く行く事ばかりではなかった。私の時間は私が針を回さなければ進まないと何度も思わされた。そして同時に動けば動くという当たり前のことも学んだ。歯車の芯はいつも私自身であり、周りが勝手に動き始めることは決してなかった。
私にとっての歯車は一冊のノートだ。このノートには自分の正直な気持ちを書きたい時に書き出している。前向きで夢溢れるキラキラページがあれば、読むのが恐ろしいくらい悲しい文字が並ぶページもある。そして今これまでのページを振り返って、あることに気づいた。それは、行き詰まったり悩んだりした時にノートに書いた、”こうしたい、ああしたい”、をちゃんと一つずつ叶えているということ。もちろん全てではないが、自分でも少しびっくりするくらい自分の声に応えている。もっと英語で友達と話したい。引っ越しがしたい。サッカーの指導がしたい。諸々。書いた日付を見ると確かに時間はかかっているけれど、今やっていることはここが出発点になっていたのかと思うと感慨深い。
オランダ最難関とも言われる家探しはタイミングが良かったのか、何件か内見申し込みのメールを送ると一件だけすぐに返事があり、あれよあれよと契約が決まった。不動産屋とのやりとり、ネットやガスの契約、家具の調達、初めてのことだらけだったけど、周囲の助けもたくさん借りてどうにか終えることができた。
コーチの仕事がしたくてようやく英語で教えられるサッカー教室の求人を見つけた。面接が決まったはいいが、正直自分の英語がどこまで通じるのか、不安しかなかった。しかし、今度面接に行くことを何人か友達に話すと、どの友達からも、「それはエキサイティングだね!あなたは大丈夫だよ!楽しみだね~」とポジティブな反応しかされなかったのに本当に心救われた。チャレンジは成功や失敗を憂うものではなくワクワクするものなんだと、友達に教えてもらった。だから、面接当日の朝は確かに緊張もしたけれど、自分が面接で上手く行くかどうかよりも、子供を相手に仕事をする人たちと私が話したいことを話そう。会話を楽しもう。という心持ちで向かうことができた。ChatGPTとの模擬練習でも、指導することやサッカーに対する思いをAI相手に語り尽くした。あなたのサッカーに対する情熱は素晴らしいですね。といつも定型文で返事してくれた。ありがとうChatGPT。緊張する私を見越して日本のお茶の話やドイツが日本に負けた話(CEOはドイツ人)でリラックスさせてくれた向こうの優しさにも助けられ、何とかパートタイムでの契約にありつけた。12月よりコーチをさせてもらっている。
この間私を知り尽くす親友と電話した時、仕事を辞めたり始めたり引っ越したりとここ数ヶ月で一気に環境が変わったことを話した。「そうやって本当に行動するのが花蓮だよね」と言われたのが何だか嬉しかった。
「動き出せ、針を回せ、次の君に繋がれ」
星野源の「時よ」という歌のこのフレーズが大好きだ。足踏みしていることに気づいた時、何か新しいことを始める時、頭の中にこのフレーズが流れてくる。
そして自分が歯車を回せば周りも一緒に動き出して色んな人が助けてくれる。これは海外で学んだことの一つ。助けてもらう前提でいることに抵抗はない。この世で一人でできてしまうことなんていうのは所詮そのくらいのことだと思う。
2024年はどんな一年になるだろう。ノートにはどんな言葉が並ぶのだろう。
私はどれだけ私の声に応えられるだろうか。
もっともっとワクワクする一年になりますように。祈り、そして動く。